地域メディアの運営や取材・編集等に携わる団体や個人が参加する「仙台メディアフェスティバル」が2017年11月11日、仙台市若林区新寺2丁目の「TOHOKU
MEDIA BASE」で開かれました。ネットメディア「TOHOKU360」を運営する合同会社イーストタイムズ(仙台市、中野宏一CEO)の主催です。東日本大震災以後、「TOHOKU360」を軸に連携策を模索してきた団体や個人が参加する形で実現しました。ローカルメディアを運営する地域の団体や個人が協力することで、どんな可能性が開けるのか、課題はどのあたりにあるのかを手探りしました。
仙台メディアフェスティバルには、イーストタイムズと協力関係にあるNPO法人メディアージ(仙台市)のほか、小説「プロパガンダゲーム」(双葉社)を発表したばかりの仙台在住の作家、根本聡一郎さんや雑誌「宮城を視るドキュメンタリーマガジン インフォーカス」の企画・取材・編集から営業までの一切を行う、一人出版の相沢由介さんら個人も参加しました。「TOHOKU360」で提携関係にあるシンガポール経済新聞とインド・ムンバイ経済新聞の編集長を務める小里博栄さんが来日して参加。 シンガポールの週刊誌「Singalife」の飯田広介編集長もネットで参加しました。
仙台発のローカルメディアの活動や背景等について理解し、既存のマスメディアをも含めた全体状況の中で位置づけようと試みました。ニュース記事を朗読するという挑戦的な試みもありました。「TOHOKU360」の通信員でもある「リーディングユニット 100グラード」の渋谷亜也さんが登壇。「仙台流行語大賞」セッションでは、この1年、仙台や宮城、東北で起きた出来事を参加者全員で出し合い、仙台・宮城・東北に住んでいるからこそ分かる流行語(言葉)ランキングを作りました。第1位は「東北でよかった」。今村雅弘復興相(当時)が東日本大震災に絡んで発言し、辞任に追い込まれました。今村発言を逆手にとって「東北で良かった」発言がネットで相次ぎました。
全国的に話題になっている小説「プロパガンダゲーム」の著者と、たったひとりで出す雑誌「宮城を視るドキュメンタリーマガジン インフォーカス」の著者が登壇したの
は「みんなで作るメディアの未来」セッション。個人がメディアとなる、創造の世界で、フィクションやノンフィクションを手掛ける二人に、地域密着型のメディア編集経験の長いライター・編集者の経験を重ね合わせました。「本当にわれわれがメディアの未来を作るとしたら、今から何をすればいいのだろう」と発言したのは、メディアカフェ的な場の運営に長けているメディアージの漆田義孝さん。
「ローカルとグローバルがつながる」をテーマに掲げた世界通信員会議では、TOHOKU360の提携先であるシンガポールとインドのメディア関係者も参加し、「ローカル」と「グローバル」がごく自然につながるメディアのあり方について考えました。小里博栄ムンバイ経済新聞編集長兼シンガポール経済新聞編集長は「ものを考えなくなった日本人」としっかり向き合うことがメディアの役割と強調しました。「みんなで作るメディアの未来』セッションの際の漆田さんの発言に対する一つの答えのように聞こえました。
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「仙台メディアフェスティバル」の会場となった「TOHOKU MEDIA BASE」はイーストタームズが開設、メディアージの活動拠点ともなります。そのほか、
メディア活動に携わる団体や個人の拠点としても利用可能にするそうです。
【写真(上)】メディアの未来とは?をめぐり充実した意見交換があった。
【写真(中)】ニュースを読む。ニュース記事によって伝わる力が違ってくる。
【写真(下)】インド、シンガポールと結んだ世界通信員会議