北嶋さんが「ひばりタイムス」について自ら説明している、素晴らしい動画コンテンツがあります。ぜひご覧ください。
「リスクマネジメントジャーナル」
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地域メディアを立ち上げる際の考え方や手法はさまざまあり得ますが、北嶋さんのように議会、行政への取材を入り口に地域の諸課題に迫るスタイルは、取材・編集などのメディア経験を生かしやすい環境でもあります。
「ひばりタイムス」の報道を通じて北嶋さんは、自治体行政や地方議会と住民の関係、特に各種選挙における低投票率に注目しています。
「ひばりタイムス」は2019年4月25日の配信で、2018年末に実施された西東京市議選の投票率について特集しました。それによると、西東京市議選の投票率は東京26市のうち最下位でした。
「年齢別投票率は25歳が14.84%で最低、年代別でも20代が最も低く17.42%だった。全体の投票率36.84%は西東京市の市議選で過去最低。最高は77歳の58.44%となり、その差は43.60ポイントもあった。年代別では20代が最も低く17.42%、70歳以上が51.06%となり、33.64ポイントの差だった。高齢者が高いと言うより、若年層の低投票率が際立っている。18歳、19歳の10代は28.82%、30代は25.22%。40代も32.68%と全体の投票率36.84%を下回り、しかも3分の1を割る。関心が極めて低い現状が浮き彫りになった」
選挙の投票率は、国、地方を問わず、政治への関心や地域づくり・まちづくりへの参加意識の低さなど、多様な観点で論じられるところです。とりわけ最近、若者の政治参加を促すための選挙制度改革が実施されている中、西東京市の若い世代の低投票率の低さを目の当たりにすると、若い人たちに向けた選挙啓発のメニュー作りに傾きがちです。
これに対して北嶋さんは「投票率が低いのは「自治体の持っている力を、市民がその程度にしか感じていないからではないか」と指摘しています。
「(自分が暮らしている自治体の問題を)すごく大切だ、何とかしなければならないと思えば、関わろうとするはずです。実際は、自治体に関わらなくとも生活はできるし、何とかなる。国が法律によって最低限の保証をするからです。もちろん、足らないところは多いし、穴だらけでもありますが、全国共通のルールがまずあるわけです」
「国政は大事」という意識は誰もが持っているのに対して「自治体はまれに暴走することはあっても、まず大丈夫」という意識が強いと北嶋さんは感じています。
「大丈夫と思えば、無理して関わらないというのが選択肢としてせり上がってくるのは当然。だから今後も、一朝一夕に投票率が上がるとは思えません。自治体の裁量で取り組める範囲が増えて、独自にいろいろできることが見えてくれば別の話になるかもしれませんが、自治体の財源でも、一般財源の使途は限られています。単独事業は次々に廃止・縮小に向かっているし、職員もどんどん減っています。それでも仕事は増えるので、正規を減らして非正規を増やす以外にないのが現実です」