NHK仙台放送局のラジオ番組「ゴジだっちゃ」の9月30日(月)の放送を聴いていたら、台風15号の関連で、地域で活動するメディアの重要性を強調していました。ネットメディア「TOHOKU360」の安藤歩美編集長がゲストで番組に出演し、千葉の人たちはふだんから全国紙やキー局を通じてニュースを知ることに慣れていて、地元の新聞社や放送局の価値に気づいていない、という趣旨で発言していました。
安藤さんは千葉県出身。台風15号では実家に急遽、戻り、被災地を取材しました。その成果をTOHOKU360にも書いています。「ゴジだっちゃ」では毎週木曜日のパーソナリティを務めています。
その通りなんです。2011年3月11日の東日本大震災を地元メディアの関係者として経験した人ならだれもが感じていることだと思うのですが、東北の人たちは、自画自賛があまり得意でないせいか、自らそのことを強調するのに遠慮があるようです。デジタル化やインターネット社会への対応の点で、立ち遅れ、その原因を作ったベテランたち(自分もその中に入ります)が自信を失っているように見えるのは仕方がないとして、若い人たちまで、無力感を漂わせているように感じるのはとても残念です。
例えばわたしの場合、河北新報社のネット部門に携わっていました。40年もの間、新聞社の仕事に携わっていて、あんなに痛い目にあったことはありませんでした。同時に、非常時にチームで立ち向かうときの充実感や同僚たちの提案力、いざというときに心配してくれた遠く離れているメディア関係者たちからの声援やサポート等々・・。
特に自分の家族の暮らしが震災でダメージを受ける中、毎日、被災地に通い、泥だらけになって取材を続けた記者や編集の諸君、営業の多様な現場で踏ん張った若い人たちの頑張りは見事でした。
デジタル化なんていったって、克服する覚悟さえ本当に整えば、結局は東日本大震災のときに見せた頑張りを多様で分かりやすい事業メニューやプロジェクトとして具体化し、「夜郎自大」のフォームを1日も早く抜け出し、地域メディアだからこそ可能な振る舞いに徹底すればいいだけです。物事を決める権限さえ与えれば、若い人たちからは面白いアイデアがどんどんわくことでしょう。「ゴジだっちゃ」の盛り上がりを聴いて久しぶりにそのことを思い出したのでした。