新聞社の現場から離れて3週間になる。考えてみれば「新聞」というメディアにこれほどの距離感を持って暮らすのは初めてだ。
朝届いた新聞にザッと目を通す。夜、帰宅して夕刊を眺める。新聞にこれだけの関わりしかないのが普通の暮らしというものなんだろう。そこから見えてくるものが必ずあるはずだ。果たしてどうか。
新聞社でネットを担当し、長い間、ニュースサイト中心の暮らしをしていた。そのころ心掛けていたのは、自社のニュースサイトを自分の「お気に入り」に入れないようにすることだった。 普通のネットユーザーの多様な関心群の中に自分の仕事を置かないと、見なければならないことを見失い、不要なことを拡大強調することになりそうだった。 同僚には内緒にしていたが、あるときニュースサイトの担当者にそれがばれたことがある。彼はとても悲しそうだった。ニュースサイトの責任者なら、いの一番にサイトを見るべきだと思ったのだろう。特に弁解もしなかったが、そういう意味だったのだ。