デジタル課金の問題では、全国紙と地方新聞社の間のギャップがますます開いています。ギャップが拡大している理由としては、地方新聞社側の伝統的な事業センス=旧来型の事業モデルの温存=結果としてデジタルへの不十分な対応-が上げられます。
地域に由来するメディアとして「デジタル社会」を生き抜こうとするのなら、全国紙のデジタル対応と、まったく別の地平を目指す発想と環境づくりが必要です。
とりあえずアーカイブやソーシャルメディアとも連動するデジタル情報商品の編集システムを開発すべきです。地方メディアとしてのマーケティングをしっかり進め、本当に買ってもらえるデジタルサービスを開発する以外に道はありません。既存のデジタル資源を、報道とマーケティング観点で体系化し、目標をしっかり定めた環境をデザインすることも重要です。
と言うと、またぞろ、資金が必要だとか、それで儲かるのかといった、自分は何もしないで先回りする論理、が飛び出すかもしれません。デジタルというのは面白いもので、既にある仕組みとマンパワーの組み合わせを考えるだけでも、相当程度のことができます。中期的なビジョンの下に、一歩前に出る意欲のある若い人たちを組織をあげて支える必要があります。
特にソーシャルメディアを活用した市民コンテンツの活用は地方新聞社のデジタル戦略の基盤となる要素です。全国紙との差別化を可能にする唯一の武器、チャンスといってもいいでしょう。
この段階で、ソーシャルや市民コンテンツ、地域コンテンツをデジタル戦略の中心に考えられないのではお話になりません。新聞パッケージを単にコピーしただけのデジタルコンテンツに力を注ぐのも結構ですが、果たしてマーケティングの裏付けはあるのでしょうか?(このエントリーはNさんへの私信をもとに書いています)