繁華街にある書店の入口付近にたたずんでいた男が「おう!」と声をかけてきました。薄暗いので初めはよく分からなかったのですが、よく見れば高校の同級生で、地元の大学の土木系の研究者でした。聞けば、東日本大震災の苦い経験を生かすため、九州のある地域との共同研究の準備に入っているんだとか。あらためて連絡先を交換しました。東日本大震災から3年。震災が強烈な経験となり、人生が変わってしまった人間がここにもいる。ほっとしたような、どこか重苦しい感じを抱きながら別れました。
実は東日本大震災直後、仕事の打ち合わせのため、この大学の別の研究者に会いに行った際、同じフロアにある男の研究室に立ち寄りました。激しい揺れのため大きな被害を受けたらしく、研究室を当分、閉鎖する旨の張り紙があるだけでした。ともかくも何とか元気でいるらしいと思って、それっきり忘れてしまうのだから、同級生と言っても水くさいものです。それを補うつもりも少しはあって、男の研究と自分の仕事の接点を探し始めています。