Permalink

off

地方発の全国ニュース/「ザ・ページ」の意味を考える(2)

このシリーズの最終回「『情報はただ』はやはり異様/新たなビジネスモデルで転換を」が掲載されています。ここからご覧ください。

<ここから取材メモ>

ニュースサイト「ザ・ページ」はオンライン専業です。ユーザーのアクセス数に依存する広告モデルのメディアでもあります。「地方発の全国ニュース」を掘り起こすことに力を入れています。「ザ・ページ」が目指す「地方発の全国ニュース」は、地域に根差しながら取材している地方新聞社の記者や、あるいは全国紙の記者で、地方の支局に赴任している人たちの誰もが追いかけてきたテーマでもあります。

「ザ・ページ」が伝統的なマスメディアの記者たちと基本的に感覚が異なるのは、紙メディアではなく、オンラインを舞台に視界を広げている点です。インターネットが報道分野に登場して以来、ややもすると一刻一秒を争う「速報」を重視する傾向が強調されてきたかもしれません。 「ザ・ページ」も、いわゆる「速報」を何よりも重視しているかと言えば、そうではないように見えます。端的に言って、速報を二の次にしても成立するような、オンラインニュースの価値を創造しようとしていると言ってもいいでしょう。

<取材メモここまで>

●新聞社の想定とは異なる層がターゲット

奥村:「ザ・ページ」にも地域色はあるけれども、どういう地域ニュースを扱いたいのかと言えば、既に申し上げた「地域発の全国ニュース」なんです。地方新聞社とは、想定している読者層がそもそも違っている点が重要です。地方新聞社が想定している読者は、新聞紙が配達されている商圏の中の読者であって、インターネットを意識した情報発信にはたぶんなってないように見えます。 それはどういうことかと言うと、やはり新聞社が大事にしているのは、紙を中心とする世界です。記者が取材した記事は、もともと新聞を前提にしているので、自分たちが書いた記事が全国に到達するものだというような書き方が、最初から感じられません。

●地方の問題は共通。解決に向けたヒントを相互参照

奥村:地方に行くと、抱えている問題はどこも同じで、県名が違っているだけということがよくあります。過疎にしても高齢化、少子化、教育にしても、問題は、46道府県にほぼ共通している。そうであるなら、問題の解決に結びつくようなヒントを送り合いたいような気がします。そこでわれわれがやりたいのは、まず地域の声を全国に送り届けることです。

<ここから取材メモ>

ワードリーフ社はヤフー株式会社の完全子会社です。ヤフーはもともと、自らはメディアにならないという基本姿勢を打ち出し、多様なコンテンツパートナーの協力を引き出してきました。「ザ・ページ」は「ヤフーニュース」との関係でどんな立ち位置を考えているのか。「ザ・ページ」が「地方発の全国ニュース」を求めて、地域で報道活動する場合、その地域によって立つメディアの戦略とも関係してくるように思われます。

<取材メモここまで>

奥村:ヤフーでやろうとすれば、新聞社との関係で軋轢が生じるかもしれないことは理解できました。だからヤフーの名前は借りずに、ヤフーの百%出資の完全子会社にしています。実際、「ザ・ページ」は、280とも300とも言われるヤフーのコンテンツパートナーにすぎません。 ヤフーブランドで仕事をしているわけではありません。

実際、会社の設立から3年たって、そういう話をあまり聞いていません。ある種の棲み分けが出来ていると思っています。 地方紙さんにご迷惑をおかけすることはありません。たとえば、仙台・宮城に10人ぐらい記者を置いて、県庁に詰めたり、石巻に張り付いたりできれば別ですが、われわれの体力でそんなことはできるわけがありません。(笑い)

●地域発の情報をより多様に!

奥村:新聞社も、地域の人たちも、地域をよくするために情報を発信するのであって、その点で力を合わせて一緒にやっていきましょうというスタンスが必要です。地域から発信される情報に多様性に持たせるという点で、ヤフーだろうが、ヤフーの子会社だろうが、または別のメディア企業であろうが、NPOだろうが、目指すところはたぶん同じなのだろうと思っています。

(次回に続きます)

Comments are closed.